「飛来」つまり,落ちてきたものに当たって怪我をするという事態は,建設業や製造業,運送業などの現場でよく見られます。しかも,飛来による事故の場合,落ちてくるもの自体の重量があるので,重症化したり,死亡するケースも少なくありません。
例
- トラックの積載物が荷崩れを起こして下敷きになるケース
- クレーンで釣り上げていた物が落下して直撃するケース
- 機械の操作中に部品の一部が飛び散って刺さったケース
飛来事故では,他の従業員のミスにより怪我を負うことが相当数あるというのが特徴になります。この場合,過失のある従業員の使用者に対して,民法715条1項の使用者責任を追及していくことになります(過失のある従業員との連帯債務を負います)。
また,墜落・落下のケースと同様に,元請け業者に対する責任追及(「安全配慮義務違反」の頁に飛ぶ)への責任追及も可能です。
飛来事故においても,労働者側に落ち度があったとして(「安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求」に飛ぶ),過失相殺が問題になることが少なくありません。
例えば,高松地裁S55.11.28では,“石材切断用カッターの製造上の欠陥によってこれを使用して石材切断中に刃が飛散して傷害を生じた事故”において,労働者が防護服を着用していなかった点に落ち度があるとし,使用者側8割,労働者側2割の過失相殺を行ないました。また,同地裁S54.11.21では,“トラックに積んでいた石材の荷崩れを押さえようとして被災した事故”において,労働者が従来から石材の備え付け工事に従事していたことから,石材製品の重量など荷崩れ事故の危険について予見できたはずであるとし,使用者側の過失を7割,労総者側の過失を3割の過失相殺を行ないました。
上述のとおり,飛来事故の場合は,他の従業員のミスによって事故が発生する可能性が高く,他の従業員の過失や事業の執行に関連する事実を適切に主張・立証できるかポイントになります。また,過失相殺の反論がなされるのが一般的ですので,適切なディフェンスをしなければ賠償額が大きく下がることにもなりかねません。そのため,飛来事故に遭われた場合,弁護士に依頼して,適切な賠償額を獲得していくことがベストです。
弁護士法人グレイスでは,労災保険申請の段階から使用者側への損害賠償請求まで一括してサポートをさせていただくことが可能です。また,年間150件以上の交通事故事件やその他の傷害事故を解決するに至っており,医学的知見が豊富な弁護士や事務スタッフが揃っておりますので,より高度な後遺障害認定を獲得することが期待できます。
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