建設現場や工場では,危険物が爆発したり,火災が起きたりすることも少なくありません。また,電気設備や配線に接触して感電することも起こりえます。
これらの類型の事故では,他の従業員のミスが原因で事故が発生するケースが多いというのが特徴です。このような場合,直接の雇用者や元請け業者に対して,民法715条1項に基づく使用者責任を追及することになります(ミスをした従業員との連帯債務となる)。
また,他の類型同様に,使用者側への安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任(「安全配慮義務違反に基づく損害賠償」の頁に飛ぶ)を追及することも可能であり,概ね以下のような事情を考慮し,安全配慮義務違反があったかどうかが判断されることになります。
- 機械や設備の設置に際し,防災措置を講じていたか又はその管理が適切だったのか
- 機械や設備の安全な使用方法等につき,作業員への適切な教育がなされていたか
- 適切な員配置や作業体制がとられていたか
さらに,建物からの発火や漏電があった場合は,民法717条1項の工作物責任に基づき使用者側の責任追及を行うことも可能です。
例えば,昭和37年11月8日(東北配電事件)では,“電力会社の施設内にあった高圧架空送電線(五粍のゴム被覆硬銅線)のゴム被覆がひどく古損していたために生じた感電事故”について,高圧電線の断線事故に対する保安設備として,瞬時ないし極めて短い時間において自動的に電流を遮断すべき装置を設置していなかったという点を捉え,保安設備に瑕疵があったとして,使用者側に工作物責任を認めました。
なお,酸素濃度が高い室内にて火器を使用して自ら被災し20%の過失相殺をした事例等(札幌地裁S50.9.30),労働者側の落ち度を認定し,過失相殺(詳しくは…「安全配慮義務違反に基づく損害賠償」の頁に飛ぶ)が行われる場合もある。
上述のとおり,爆発,火災,感電事故の場合は,他の従業員のミスによって事故が発生したり,施設内の設備が原因で発生したりすることもあるので,他の従業員の過失や施設の設置・管理の瑕疵に関連する事実を適切に主張・立証できるかポイントになります。また,過失相殺の反論が予想されるので,適切なディフェンスをしなければ賠償額が大きく下がることにもなりかねません。そのため,爆発,火災,感電事故に遭われた場合,弁護士に依頼して,適切な賠償額を獲得していくことがベストです。
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