労働の現場では,つまづいたり,足を滑らせたりして転倒し,怪我をすることが少なくありません。平成30年の厚生労働省による調査でも,その年に発生した労働災害のうち,約25%が転倒による事故であると報告されております。
転倒事故の場合,手・足を骨折したり,頭部に障害が残ることもありますので,後遺障害認定で争われることも少なくありません。また,例えば元請け業者の工場内にて作業をしている場合等は,元請け業者への安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(…同記事に飛ぶ)も検討されることになります。
転倒事故における損害賠償事案では,概ね以下のような事情を考慮し,安全配慮義務違反があったかどうかが判断されることになります。
滑ってこけたケース)
- 水気やオイル等が散らばっていなかったか
- ツルツルの床や階段であれば,滑り止めを設置していたかどうか
(つまずいてこけたケース) - 床に凹凸やたるみがなかったか
- 障害物が置かれていなかったか
(階段を踏み外してこけたケース) - 過剰な荷物を運ばせていなかったか
- 階段部分は適正な明るさであったかどうか
もっとも,使用者側にどのような注意義務が求められるかについては,個々の事案によって違いますので,個別事情に沿った適切な主張していくことが不可欠になります。
転倒事故における損害賠償事案では,ツルツルしている通路を走って転倒した場合等,労働者側にも落ち度があるとして,過失相殺(…「安全配慮義務違反に基づく損害賠償」に飛ぶ)が問題になることも多いです。
例えば,東京地裁S52.4.28では,“上段からの材料の引き出し作業において,足元が滑りやすい状況であることを知りながら,自ら簡単にできる足場を安全にしてから作業する等の措置をとらなかった”という事案において,「敢えて使用者の手当を待たず,自ら足場を安全にしてから作業することも一挙手一投足の労で足りたといわなければならないから,本件事故発生については,右のような原告の過失も相当な原因をなしているものを解さざるを得ない」として,約50%の過失相殺が行われました。
上述のとおり,転倒事故の場合,個々の現場の状況を踏まえた適切な主張をしなければ,使用者側の責任追及をすることは困難です。また,使用者側から過失相殺の反論がなされるのが一般的ですので,適切なディフェンスをしなければ賠償額が大きく下がることにもなりかねません。そのため,墜落・転落事故に遭われた場合,弁護士に依頼して,適切な賠償額を獲得していくことがベストです。
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